この記事の結論 ダイソンが 歯ブラシの中にカメラを入れました。ブラシヘッドの根元にある 1mm四方・10万画素のマクロカメラ が 毎秒28枚 の口内画像をAIで解析し、歯と歯のすき間を見つけると 0.1秒以内にマウスリンスをジェット噴射 する ── それが Dyson CameraJet(79,800円) です。発想としては本物で、「歯ブラシだけでは歯垢の6割しか落ちない」という長年の弱点を、ハードウェアで殴りにいった 製品。ただし現実的な話もあります。替えブラシは2本4,620円・3か月交換で年9,240円、本体と合わせた 5年総額は約12.6万円。さらに 発泡する歯磨き粉やマウスウォッシュは使えず、Wi-Fi接続とアプリが前提です。同じ「磨く+歯間を洗う」は、電動歯ブラシ+ジェットウォッシャーの2台持ちなら5年4.6万円 で足ります。それでも 「フロスが続かない自覚があって、歯科の定期検診で毎回注意される人」 には、8万円を出す理由がちゃんとある製品です。
「歯ブラシにカメラを載せました」と聞いて、まず笑いました。
そのあとスペックを読んで、真顔になりました。カメラは飾りではなく、水を撃つ照準器だったから です。
2026年9月1日、ダイソンが初のオーラルケア製品 Dyson CameraJet を発売しました。掃除機とドライヤーの会社が、なぜ歯ブラシで、しかもなぜカメラなのか。順番に見ていきます。
歯ブラシの中に、1mm四方のカメラが入った
CameraJet は、ざっくり言うと 電動歯ブラシ + ウォーターフロッサー + 口腔内カメラ の3台が1本にまとまった製品です。
いちばん面白いのがカメラの置き場所で、ブラシヘッドの根元、毛の真下 に埋まっています。サイズは 1mm四方、10万画素のマクロレンズ。LEDライトも一緒に入っていて、口の中という真っ暗な場所を照らしながら撮影します。
そして撮った画像は、スマホに映すためだけのものではありません。機械学習が毎秒28枚を解析して、「ここは歯と歯のすき間だ」と判定した瞬間に、水を撃つ ためのものです。この一連の仕組みをダイソンは Gap Optical Targeting と呼んでいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カメラ | 1mm四方・10万画素のマクロレンズ(ブラシヘッド根元に内蔵) |
| 解析速度 | 毎秒28枚の画像をリアルタイム解析 |
| 反応 | 歯間を検知してから 0.1秒以内 にジェット噴射 |
| ジェット | 円錐状に広がる「コニカルジェット」 |
| 学習データ | 47万枚以上の歯科画像 / 制御コード 1,600万行 |
| ブラシ | デュアルブリッスル(内側は硬め・外側は柔らかめ)、毎秒約1,000回の音波振動 |
| タンク | 12.5mL(約80回分の噴射)。ドックのボタンで自動給水 |
| バッテリー | 約10日間(充電 約8時間) |
| サイズ・重さ | 273 × 44 × 44mm / 230g(ブラシヘッド1本含む) |
| 接続 | Wi-Fi / Bluetooth、MyDysonアプリで口内をライブ表示 |
| 価格 | 79,800円(税込・直販)。カラーはセラミックウルトラブルー / セラミックピンク |
開発には 6年、口腔衛生そのものの研究まで含めると 10年以上 かけたとされています。掃除機の会社が気流と流体力学でやってきたことを、そのまま口の中に持ち込んだ格好です。
なぜカメラなのか ── 歯ブラシの「60%問題」
ここが、この製品のいちばん真面目な部分です。
ライオン歯科衛生研究所によると、歯ブラシだけでは歯垢(プラーク)の60%程度しか取り除けません。デンタルフロスや歯間ブラシを併用して、ようやく 90%近く に届きます。
| ケア方法 | プラーク除去率の目安 |
|---|---|
| 歯ブラシだけ | 60%程度 |
| 歯ブラシ + フロス・歯間ブラシ | 90%近く |
つまり、残り30ポイントぶんはフロスの担当。ところが、この「フロスを毎日やる」がとにかく続かない。理由はだいたい2つで、面倒くさい のと、そもそも自分の歯間がどうなっているか見えない ことです。
CameraJet の答えは直球です。見えないなら映せばいい。面倒なら歯磨きと同時にやってしまえばいい。 カメラで歯間を見つけ、その場で水を撃つ。ブラッシングの2分間の中に、フロス相当の工程を溶かし込んでしまうという設計思想です。
「8万円の歯ブラシ」という見出しだけだと富裕層向けのネタ家電に見えますが、狙っている課題はかなり普遍的 なんですよね。
実機レビューで見えてきた「クセ」
発売後、国内メディアの実機レビューも出そろってきました。編集部で内容を突き合わせたところ、面白さと同じくらい、クセの強さも共通して指摘されています。
1. 「噴射ショック」に慣れるまで数十秒かかる
Business Insider Japan の1週間レビューでは、使い始めの30秒ほど「今まで感じたことがない 噴射ショック」に戸惑った、と書かれています。内部のポンプが水を打ち出す独特の衝撃で、慣れれば問題ないものの、初日は確実に驚きます。
2. 使える液体が限られる
これは購入前に絶対に知っておくべき点です。泡立つ製品は使えません。
- 歯磨き粉:SLSフリーのジェルタイプ、または無発泡タイプ
- タンクに入れる液体:透明で低発泡のマウスウォッシュ、または水
- ダイソン純正の歯磨き粉・マウスリンス(研磨剤・発泡剤なし)は、2026年9月時点で日本未発売
つまり 「いま使っている歯磨き粉がそのまま使える」とは限らない。日用品側も一緒に乗り換える覚悟が要ります。
3. Wi-Fi前提で、つながらないとアラートが出る
CameraJet はWi-Fi接続が基本で、未接続だとアプリ側にアラートが表示されます。出張先のホテルWi-Fiがつながりにくく、スマホをモバイルルーター化して回避した という報告もありました。歯ブラシのために回線を気にする日が来るとは、という感想も含めて、これが2026年の家電です。
4. 大きい
273mm・230gは電動歯ブラシとしては大柄です。専用ケースが付属するので持ち運びは想定されていますが、レビューでは 「バックパック旅行には向かない、スーツケース前提」 と評されていました。
5. 正しい当て方に、多少のコツが要る
歯に対して平行に動かしつつ、1エリアを円を描くように磨く ── というのが推奨される使い方で、マニュアルを読まずに我流で使うと本来の性能が出ません。カメラで狙って撃つ以上、狙いを外さない持ち方が必要、ということですね。
💡 編集部メモ:ここまでを読んで「めんどくさそう」と思ったなら、その直感はたぶん正しいです。CameraJet は 家電というよりガジェット で、手間を楽しめる人の道具に近い。逆に「口の中がリアルタイムで見える」と聞いてワクワクした人は、たぶん最後まで楽しく使えます。
お金の話:5年で12.6万円
当サイトの定番の見方でいきます。本体価格ではなく、5年間の総額 です。
CameraJet の替えブラシ(デュアルブリッスル レギュラータイプ)は 2本セットで4,620円、交換目安は 3か月に1本。つまり年4本で 年9,240円 です。ブラシヘッドにはRFIDタグが入っていて、使用回数を数えて交換時期を通知してくれます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 本体 | 79,800円 |
| 替えブラシ(年4本) | 9,240円/年 |
| 5年総額 | 126,000円 |
ここに マウスリンス代が別途 かかります。タンク12.5mLで約80回分の噴射なので、毎日使うなら年に数百mL〜1L程度の消費。市販の低発泡マウスウォッシュで 年1,000円前後 を見ておけば大きくは外さないはずです(編集部の概算)。
比較対象として、同じ「磨く + 歯間を洗う」を別々の機械でやる 場合を並べてみます。

差額は約8万円。CameraJet 1台ぶんの金額が、そのまま差になります。
もちろん2台持ちには 置き場所が2つ要る・充電が2つ要る・結局ジェットウォッシャーを使わなくなる という現実的な弱点があります。「1本にまとまっていること」に8万円払えるかどうか が、この製品の判断軸です。
4.6万円で同じ目的を達成する現実解
「歯間まで機械でケアしたい。でも8万円は出せない」── たぶん多数派はこちらです。その場合の組み合わせがこれ。
| 構成 | 初期費用 | 5年総額 |
|---|---|---|
| Dyson CameraJet | 79,800円 | 126,000円 |
| ソニッケアー 4100 + ジェットウォッシャー ドルツ EW-DJ55 | 約26,000円 | 約46,000円 |
| ソニッケアー 4100 のみ | 約10,000円 | 約30,000円 |
※替えブラシは純正・年4,000円で試算。ジェットウォッシャーの価格は2026年9月23日時点の実勢価格です
買うべき人・やめておくべき人
買う価値がある人
- フロスが続かない自覚がある ── そして歯科の定期検診で毎回それを指摘されている
- 歯周ポケットや歯肉の状態を自分の目で確認したい(奥歯の裏まで映ります)
- 新しい仕組みのガジェットに 8万円払って人柱になるのが楽しい
- 歯磨き粉やマウスウォッシュを 指定のものに変えることに抵抗がない
やめておくべき人
- 毎日きちんとフロスができている ── その人にとっての追加価値は限定的です
- 歯磨きは とにかく短く簡単に済ませたい
- 洗面所が狭く、ドックの置き場所がない
- 家族で共用したい ── 1本8万円の共用は、衛生面でも金額面でも現実的ではありません
よくある質問 (FAQ)
Q1. 本当にデンタルフロスの代わりになりますか?
A. ダイソンは 「プレミアム競合製品と比べて最大69%多く歯垢を除去する」 と公称しています(メーカー公称値)。ただし 「これがあればフロスは完全に不要」と結論づけた第三者の長期データは、2026年9月時点では確認できていません。歯科の基本は今も「歯ブラシ + 歯間清掃の併用」なので、フロスの完全な置き換えではなく、続かない人の現実的な代替 と捉えるのが安全です。判断は歯科医の指導に従ってください。
Q2. 水道水を入れてもいいですか?
A. 使えるのは 発泡しない液体 です。水も使えますが、タンクに水を入れっぱなしで長期保管するのは衛生面で推奨されません。実際の運用では 透明・低発泡のマウスウォッシュ を入れ、使用のたびに洗って乾かすのが基本になります。
Q3. 今使っている歯磨き粉はそのまま使えますか?
A. 多くの市販品は 発泡剤(SLS)入りなので不可 です。SLSフリーのジェルタイプや無発泡タイプ に変える必要があります。ダイソン純正の歯磨き粉・マウスリンスは2026年9月時点で日本未発売です。
Q4. 替えブラシはいくらですか?
A. デュアルブリッスル ブラシヘッド2本セット(レギュラー)が 4,620円(税込)、交換目安は3か月です。年4本で 年9,240円。一般的な電動歯ブラシの純正替えブラシ(年3,000〜5,000円)の約2倍なので、ここは覚悟しておくところです。
Q5. 結局、8万円を出す価値はありますか?
A. 「歯科治療は高い」という事実をどう見るか に尽きます。虫歯1本の治療や歯周病のメンテナンスにかかる費用と手間を考えれば、予防に8万円は高くないという理屈は成り立ちます。一方で、同じ予防効果を4.6万円の2台持ちで狙える のも事実です。「1本にまとまっている体験」と「口内が見えるおもしろさ」に差額8万円の価値を感じるか ── そこが分かれ目です。
まとめ
- ダイソン初の電動歯ブラシ CameraJet は、ブラシヘッドに1mm四方・10万画素のカメラ を内蔵
- 毎秒28枚 を解析し、歯間を見つけたら 0.1秒以内にジェット噴射。価格は 79,800円
- 狙っている課題は真っ当 ── 歯ブラシだけでは歯垢の約60%しか落ちない
- ただし 替えブラシ年9,240円、5年総額12.6万円。発泡する歯磨き粉・マウスウォッシュは使用不可
- 電動歯ブラシ + ジェットウォッシャーの2台持ちなら5年4.6万円。差額は約8万円
- フロスが続かない自覚がある人の8万円 としては、十分に筋が通っている
個人的にいちばん感心したのは、カメラを「見せるため」ではなく「狙うため」に使った ことです。口内カメラ付きの歯ブラシ自体は以前からありましたが、映すだけでは行動は変わらない。検知して、その場で水を撃つところまでやって初めて意味が出る ── この割り切りは、素直に面白い製品だと思います。
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本記事は 2026年9月23日時点 の各メーカー公式情報および国内メディアの実機レポートに基づく編集部の調査記事です。編集部は Dyson CameraJet の実機を購入・使用していません。実機の使用感に関する記述は、明記した国内メディアのレビュー内容を参照しています。プラーク除去率はライオン歯科衛生研究所の公開情報、歯垢除去性能に関する数値はダイソンのメーカー公称値です。価格・仕様・販売状況は変動するため、購入時は必ず各販売ページで最新情報をご確認ください。オーラルケアの方法については、かかりつけの歯科医の指導を優先してください。当サイトの広告表示については アフィリエイト開示 をご覧ください。