コンセントを抜く節電、時給いくら? — ケトルは時給3円だった
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コンセントを抜く節電、時給いくら? — ケトルは時給3円だった

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この記事の結論 「使わない家電はコンセントを抜こう」── 節電の定番ですが、抜き差しの手間を時給に換算すると、ほとんどが割に合いません。毎日10秒かけてプラグを抜き差しすると、1年で約1時間。その1時間で浮く電気代は、電気ケトルなら2.7円(時給3円)、スマホの充電器で225円(時給222円)、電子レンジで296円(時給292円) です。2026年度の最低賃金(全国加重平均1,177円)を超えたのは、待機電力がけた違いに大きいガス給湯器だけ でした。一方で、テレビの「高速起動」をオフにする設定変更は、1分の作業で年348円 ── 時給に直すと約2万円 になります。節電は「毎日がんばる」より 「1回だけ設定を変える」 ほうが圧倒的に割がいい、というのが結論です。

「待機電力がもったいないから、使わない家電はコンセントを抜いている」

えらいと思います。ただ、ひとつ聞いてみたいことがあります。その節電、時給いくらですか?

プラグを抜いて、使うときに挿し直す。1回5秒、往復で10秒。1日10秒でも、1年続ければ 約1時間 になります。その1時間で、いくらの電気代が浮いているのか。

資源エネルギー庁の調査データを使って、家電ごとに 「プラグを抜く節電の時給」 を計算してみました。

計算の前提

項目値
電気代31円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価)
待機電力資源エネルギー庁「待機時消費電力調査」で実際の家庭の機器を計測した値
手間プラグを抜く5秒+挿す5秒=1日10秒、1年で約1.01時間
時給1年で浮く電気代 ÷ 1年でかかる手間(時間)

待機電力は、使っていない時間のほぼすべてで発生するとして計算しています(実際は使っている時間があるので、浮く金額はこれより少し小さくなります)。

結果:プラグを抜く節電の時給ランキング

家電待機電力1年で浮く電気代時給
ガス給湯器(ふろがま)のリモコン6.65W1,806円1,781円
ミニコンポ1.91W519円512円
テレビ(高速起動ON)1.66W451円445円
プリンター1.48W402円396円
ゲーム機1.43W388円383円
パソコン1.22W331円327円
電子レンジ1.09W296円292円
炊飯器1.00W272円268円
スマホの充電器0.83W225円222円
テレビ(高速起動OFF)0.38W103円102円
扇風機・サーキュレーター0.26W71円70円
洗濯機0.21W57円56円
トースター0.04W11円11円
電気毛布0.03W8円8円
電気ケトル0.01W2.7円3円
ドライヤー0.01W2.7円3円

プラグを毎日抜き差しする節電の時給。ガス給湯器のリモコンは時給1,781円で最低賃金1,177円を上回るが、電子レンジは292円、スマホの充電器は222円、電気ケトルは3円

電気ケトルとドライヤーは、時給3円 です。1年間毎日プラグを抜き続けて、浮くのは缶ジュース1本にも届きません。

スマホの充電器でも時給222円。電子レンジで292円。2026年度の最低賃金(全国加重平均1,177円)を超えたのは、給湯器だけ でした。

なぜこんなに小さいのか

電気ケトルやドライヤーには、そもそも 時計も、リモコンの受信部も、待機中に動く仕組みもほとんどありません。スイッチが切れていれば、ほぼ電気を使っていないのです。「プラグが挿さっている=電気が流れ続けている」は、こうした単純な家電には当てはまりません。

逆に、時計・タイマー・リモコン受信・ネット接続 のどれかを持っている家電は、待機電力がひとけた大きくなります。電子レンジや炊飯器の時計、テレビのリモコン受信、プリンターのネット接続がそれです。

💡 編集部メモ:この表の値は、2012年度の調査で 実際の家庭で使われていた機器(古いものを含む) を計測したものです。同じ調査で、当時の新製品は 0Wや1W以下のものが多い と報告されています。つまり最近の家電なら、時給はこの表よりさらに下がる と考えてください。

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家全体の待機電力は、年いくら?

では、家全体ではどのくらいなのか。同じ調査は、1世帯あたりの待機電力を年228kWh と推計しています。家庭で使う電気全体(年4,432kWh)の 5.1% です。

項目年間の電力量電気代(31円/kWh)
1世帯の待機電力228kWh約7,070円
主電源オフを徹底した場合184kWh(−19%)約5,700円(年1,360円の節約)
使わないときはプラグを抜く・節電タップで切る場合116kWh(−49%)約3,600円(年3,470円の節約)

家じゅうを徹底的にやって、年3,470円。月にすると290円ほどです。

待機電力の内訳は、ガス給湯器が19% で最多。テレビ10%、エアコン8%、電話機8%、レコーダー6%と続きます。

時給2万円の節電:「1回だけ」の設定変更

ここからが面白いところです。

テレビの待機電力は、「高速起動」をONにしているテレビを含めた平均が1.66W、除いた平均が0.38W でした。高速起動とは、電源ボタンを押してからすぐ映るように、待機中も一部の回路を動かしておく機能です。

平均どうしの差は1.28Wで、年348円。高速起動ONのテレビだけで比べれば、差はこれより大きいはずなので、控えめに見積もっても年348円 の節約です。

ポイントは、これが 1回設定を変えるだけ で済むことです。設定画面を開いて切り替えるのに1分かかったとしても、

348円 ÷ 1分 = 時給 約2万円

毎日プラグを抜くよりも、はるかに割のいい節電 です。同じ考え方で、

  • ゲーム機 の「スタンバイモード」「すぐに起動」などの設定を見直す
  • パソコン を使い終わったらスリープではなくシャットダウンにする設定へ
  • ガス給湯器 は、お湯を使わない時間にリモコンの運転スイッチを切る

といった「1回決めれば終わり」の行動から手をつけるのがおすすめです。

⚠️ ガス給湯器の電源プラグは抜かないでください。 冬場は、配管の凍結を防ぐヒーターが電気で動いています。プラグを抜くと凍結して故障する原因になります。節電するなら リモコンの運転スイッチを切る だけにしましょう。

「毎日抜く」を「1秒で切る」に変える道具

それでも待機電力を切りたい家電がある場合は、手間のほうを減らす のが正解です。

時給の計算式は「浮く金額 ÷ 手間」なので、手間が5分の1になれば時給は5倍になります。個別スイッチ付きの電源タップ なら、プラグを抜き差しする10秒が、スイッチを押す2秒になります。

家電プラグを抜く場合の時給スイッチ付きタップの場合
ミニコンポ512円2,558円
ゲーム機383円1,915円
パソコン327円1,634円
電子レンジ292円1,460円
スマホの充電器222円1,112円
電気ケトル3円13円

テレビ台やデスクまわりの機器をひとつのタップにまとめておけば、寝る前にスイッチを押すだけ で済みます。

スマートプラグで自動化すると、逆に赤字になることも

「スマートプラグでタイマー的に切れば、手間はゼロ」── 理屈はその通りなのですが、ひとつ落とし穴があります。スマートプラグ自身も電気を使う のです。

ある実測では、SwitchBot プラグミニは OFFにしている状態でも0.6〜0.7W を消費していました(Amazonのスマートプラグは0.2W、Tapoは0.4W)。年にすると 約160〜190円 です。

電気ケトル(年2.7円)の待機電力を切るためにスマートプラグを挿すと、年160円以上の赤字 になります。スマートプラグが待機電力対策として意味を持つのは、切りたい家電の待機電力が、プラグ自身の消費電力より明らかに大きい場合だけ です。

まず自分の家電を測ってみる

この記事の数字は全国調査の平均値です。あなたの家のテレビが何Wなのかは、測ってみないと分かりません。

そこで役に立つのが ワットチェッカー(ワットモニター) です。コンセントと家電の間に挟むだけで、今の消費電力(W)、積算の電力量(kWh)、電気代(円)を表示してくれます。待機中の家電を測れば、その家電のプラグを抜く価値があるかどうか が一発で分かります。

よくある質問 (FAQ)

Q1. じゃあ、コンセントは抜かなくていいの?

A. 電気代の面では、ほとんどの家電は抜かなくて問題ありません。ただし、長期間使わない機器や、ホコリがたまりやすい場所のプラグは、トラッキング火災の予防 のために抜いたり掃除したりする意味があります。こちらは電気代とは別の、安全の話です。

Q2. スマホの充電器を挿しっぱなしにすると危ない?

A. 正常な充電器なら、挿しっぱなし自体はただちに危険ではありません。待機電力も、最近のUSB充電器なら表の0.83Wよりかなり小さいのが普通です。ただし 異常に熱い・焦げ臭い・ケーブルが傷んでいる ものは使用をやめてください。見分け方は 充電器が熱いときの記事 にまとめています。

Q3. いちばん効く節電は何ですか?

A. 待機電力は家全体の5%ほどなので、動いているときの電力 を見直すほうが効果は大きくなります。たとえば暖房なら、器具の選び方だけで電気代が最大24倍変わります(詳しくは 暖房器具の電気代の記事)。

Q4. この記事の時給は正確ですか?

A. あくまで目安です。待機電力は2012年度の全国調査の平均値で、機種によって大きく違います。手間も人によって違います。正確に知りたい場合は、ワットチェッカーで自宅の家電を測ってください。

まとめ

  • 毎日10秒のプラグ抜き差しは、1年で約1時間の手間
  • その時給は 電気ケトル・ドライヤーが3円、スマホの充電器が222円、電子レンジが292円
  • 最低賃金(1,177円)を超えたのはガス給湯器だけ。ただし給湯器は プラグを抜かず、リモコンの運転スイッチを切る
  • 家全体で徹底しても、節約できるのは 年3,470円 ほど
  • テレビの高速起動OFFは、1分の作業で年348円 = 時給約2万円
  • 毎日の手間は 個別スイッチ付きタップで5分の1 に。スマートプラグは自身の消費電力に注意

「もったいない」の感覚は大切ですが、節電にも費用対効果があります。毎日の小さな我慢より、1回だけの設定変更。浮いた時間で、もっと大きな電気代の見直しに手をつけるほうが、財布にはずっと効きます。

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本記事の待機電力の値は、資源エネルギー庁「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要」の、家庭で所有されている機器の計測値(ストックベース・標準モード)です。電気代は全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh、最低賃金は2026年度の全国加重平均額1,177円で計算しています。スマートプラグの消費電力は国内メディアによる実測例です。いずれも目安であり、実際の値は機種・使い方によって異なります。当サイトの広告表示については アフィリエイト開示 をご覧ください。

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